サッカー日本代表、W杯グループリーグ突破

サッカー日本代表、W杯グループリーグ突破、おめでとう。
みんな良い意味で、「岡田狸」に騙されたね。
4年前のドイツ大会での失敗に学び、今回は高地トレーニングでヘトヘトの状態でテストマッチに挑んで4連敗。誰もが、今回はヤバいと思ったと思う。

かつて、「はてなハイク」の「日本代表」スレッドで「岡田は最近ズルくなって、テストマッチやそれに準ずる試合では、課題を抽出することに使い、そのことをメディアに公表していない」と書いていた私も、今回のテストマッチ4連敗の時は、「内容が悪すぎる」とか「まるでJ2に落ちていくチームみたいに不調」と思い、今回のW杯では録画すらしていない。

特に拙いなと思ったのが、距離の足りないパスミスが目立っていたことだった。チョット、代表のレベルにしてはおかしなパスミスだと思った。一方で、ゴルフの話だが、こんな事を思い出した。マスターズの行われるオーガスタCCでは、元々グリーンの芝の長さが短い事で知られているが、トーナメント当日には、さらにこれを刈り込むらしい。練習ラウンドに来ている選手たちは、これを見越して、わざとショートする様にパターを練習するんだとか。テストマッチで距離の足りないパスミスを連発しているのは、そういう理由で有ればと思っていた。でもなあ……4連敗は、酷いと思った。

監督や選手たちも、最近は、本音を言わなくなってるんじゃないかと思うが、高地トレーニングの効果は大きいと思う。その効果は心肺機能の向上よりも、空気抵抗の少ない場所でのボールの飛び具合を掴んでいる点にあると思っている。今回の大会で使用される9会場のうち、1000mを超える場所で行われるのは、実に半数に及ぶ5会場。そのうち、日本代表が試合をするのは、決勝までを考えればダーバンでの2試合以外は、すべて1000mを超える場所での試合となる。岡田が目標に掲げていたベスト4までは1試合である。

そういう事いうことならば、2試合目のオランダとの試合を1点差負けにコントロールさえできれば、高地トレーニングを徹底的に行って、相手より有利な条件で戦えるかもしれないと思ったのではないだろうか?

日本に味方したのは、W杯使用球「ジャブラニ」の軽さもある。毎回、W杯の欧州各国のチームのパススピードの速さには驚かされるのだが、今回はそれが彼らの仇になっているように思う。無論、「高地での空気抵抗の低さ」については知っているだろうけど、プレッシャーの無いところでの蹴り方のコントロールはできても、前線の高い位置からプレスをかける日本の守備に絡まれると、自ずと本能的に強く蹴りすぎているように思える。そのせいか、欧州の強国と言われる伊仏両国は1次敗退、独英両国も大変苦戦をした。日本がオランダ戦で失点したスナイドルの強烈なミドルシュートは、デンマークと対戦したルステンブルクでは、バーを越えていた可能性もある。

対して、南米はというと、南米予選では、標高3000mを越える場所で行うボリビアと対戦せねばならず、この体験を踏まえていることや、彼らの少年時代には公認球などめったに使ったことはなく、その時その時のいろんな品質のボールに順応することを求められるから、即座に対応できているのだと思う。南米は5カ国全てが一時リ−グを突破しているのは、ただ単に夏冬と真夏が逆転しているせいだけではないと思う。したがって、決勝トーナメント1回戦で対戦するパラグアイは、日本代表にとってはオランダ以上に手強い相手と言えよう。

さて、日本代表の変化は他にもある。DFラインや中盤での無駄なボール回しが減ったことだ。中盤を作らずに、一気に前線の本田に預ける場面が何度もあった。「ショート・パスを中心に組み立てる日本」というイメージと違って、少なからず面喰っていたと思う。無論、ロングボールをただ蹴ればいい訳じゃない。セカンドボールを確保することが肝心だ。この点で日本代表は、必ずしも、最初に触れていた訳ではないが、先に触った相手選手に、厳しくプレッシャーをかけて、ボールを奪ったり、パスミスを誘発させるようにしていた。こういった点で、これまでの試合での最大の功労者は、中盤の3人、そしてサイドの松井と大久保と言える。とくに、3試合を通じて1枚のイエローカードももらっていない大久保って、信じられるだろうか?「よくぞ更正したもんだ」と不良息子を褒めてやりたい心境である。

決勝トーナメントでの事を展望すると楽観などできる状態ではないが、考えてみれば、W杯の決勝トーナメントである。弱いチームと対戦できるはずもない。まあ「失うものは、何もない」気持ちで、厳しくボールを奪い合ってほしい。ただ、自陣前に引いて、ロングボールでのカウンター狙いのニュージーランドに手古摺ったことを考えれば、オランダ戦でやった戦術は、意外に通用するかもしれない。