W杯準々決勝に思う

オグリキャップが死んだ。私を競馬の世界に引き込んだ2頭の葦毛馬のうちの1頭だ。もう1頭のタマモクロスもすでに逝き、自分にとって、競馬との関わりの曲がり角に来ているような気がした。

思い出すのは、「葦毛の対決」というオグリキャップタマモクロスの秋3連戦。
あんな興奮を感じるレースに、もう出会うことも無いような気がしている。

W杯は、ベスト4が決まった。日本・韓国は決勝トーナメント初戦で敗退し、南米の両雄ブラジル・アルゼンチンも準々決勝で敗退した。ブラジルとオランダの試合のレフェリーは、日本の主審・副審を含むアジアグループが担当した。この審判に、ブラジル代表のドゥンガ監督が、不満だったらしい。

誤審があった訳ではないが、笛を吹き過ぎだというのである。主審を務めた西村氏は、確かに、そういう風評のある人だと思う。でも、あの試合に関して言えば、ブラジルはリードしていた前半から余裕がないくらい、彼の判定に露骨に不満を表していた。スポニチのコラムで金子達人は、「ドゥンガの日本人審判への不信感が、そのまま選手に伝染したのでは…?」と書いてあったが、試合前に、人種差別撤廃を宣言するメッセージを読んで始めた試合で、そんな事があったのか…と、呆れたものである。

ただ、もしかして、ドゥンガが日本でプレーしていた時から、西村氏が笛を吹いていたとしたら、彼の傾向を知るドゥンガは、その不信感を選手に口にしたのかもしれない。となるとそれは、人種差別というよりは、西村氏個人への嫌悪感なのかもしれない。でも、だからこそ、監督である彼は、そのことで、審判と対立しないように、選手たちに注意を促すべきだったと思う。

あらゆるスポーツが国境を越えて、世界大会が開かれるようになると、当然審判も世界中から呼んで、公正を期さねばならない。国によって、民族によって、そのスポーツの解釈の違いは驚くほど違うのだ。柔道で、内股透かしという高度な返し技を見逃され、優勝を逃した日本人選手がいた。また、そんなの技のうちに入らないだろう?ってな状態で双方の体勢を崩れたのを、一方的にポイントに取られ、優勝を逃した選手もいる。

そんな誤審に比べれば、ブラジルとオランダの試合は、かなり荒れた試合だったこともあり、笛が多くなるのも無理からぬことのように思う。私が見た感じでは、反則を取られたことよりも、FKのポイントの不正確さを指摘されて、苛立っている選手が多いように思った。特に、ブラジルがリードされてからは、残り時間を気にして、かなりいい加減な位置からリスタートしようとしているのが目立った。それを戻されるものだから、時間を気にしている方は、気が気ではない訳だ。でも、これがオランダの側から見れば、いい加減な位置からのリスタートを許していたら、日本人がブラジルの味方をしているように見えたことだろう。そこは、ブラジル代表選手が自分自身をコントロールすべきだったろう。

もうひとつ、ウルグアイとガーナの試合で、延長後半終了直前の故意のハンドが取り沙汰されている。「すごい、さすがだ」という声は多いけど、私は、どうもあの薄汚さが許せない。W杯のような大会は、勝負が最優先されるものだから、ともすると、何でもありの考えに陥りがちだ。でも、もし少年サッカーを指導することがあったら、「あれを見習え」って言える?

試合の結果に関しては判定通りで良いけど、1発退場を食らった選手の処分は、厳重にすべきだろうと思う。残りすべての試合への出場停止が言い渡されても不思議ではないと思う。