プロジェクトP

合宿から帰って、骨折が判明し、ハイキングは自重した。
足ではないので行けるかと思ったが、団体行動に体調不十分で参加して、思わぬ迷惑をかけても上手くない。

ただ、体は動くので、何かはしていたい。そこで、毎日のように通ったのが、福島潟だった。

最初は、環境省の野鳥観察小屋でフィールド・スコープを覗いてたのだが、カメラで撮れるものは撮ってみようということになった。とはいえ、巨大な福島潟の真ん中にいる鳥なんか狙ったって、私のコンデジのちっぽけなズーム機能では、何の鳥かさえもわからない。かといって、デジスコなんぞ、揃えたところで振り回されるだけだし、金もない。辛抱強く観察小屋に日参したり、周りの田んぼでチャンスを待ったり、とにかく自分のコンデジで撮れる写真を取ろうと思い、その結果、何枚か良いものも撮れた。


感動したのは、夕日を背に帰還したハクチョウの群れの写真が撮れた時、夕日を浴びてピンク色のハクチョウの群れが撮れた時、田んぼで採餌するハクチョウの群れの脇で、オオヒシクイの群れの写真が撮れた時などだ。

これらは、最近の私の多言語自己紹介の趣味の説明でも、写真持参で行われている晴れて、オオヒシクイの認定をいただきました1
晴れて、オオヒシクイの認定をいただきました1 posted by (C)ぱな
そんなことをしているとき、ラッキー宅で昼食をとる機会があった。その中の話の展開で、「ピタゴラスイッチ」を作ってみたいという話になった。大まかな計画でいえば、来年の合宿で、メンバーに公開し、その成果を来年の「古町どんどん」で、一般公開して、客寄せしようという計画なのだ。

ピタゴラスイッチ」の正確なニュアンスを英訳しようと試みるのは難しい。ただ、それに近い言い方は、YouTubeの動画のタイトルになっているものを見ると、一番使われているのが、Japanese Dominoとか、Marble Runningだが、これらとの違いはある。ドミノは倒れる動きが伝わっていく面白さで、ピタゴラの中でもときどき使われるが、ピタゴラの面白さは、それがビー玉が転がる動きにつながったりいろんな動きに変わるところだ。マーブルランニングは、逆に作られたコースをビー玉が転がるだけで、基本的には落ちていくだけのものだ。そんな中で、ルーブ・ゴールドバーグ・マシーンという言葉と出会った。

20世紀前半のアメリカの漫画家ゴールドバーグが考えた、バカバカしいほど簡単なことを手間暇かけたプロセスを経て行う機械のことで、大量生産で機械化していく工場を皮肉って、描かれたものだという。しかし、読み手はその様には受け取らず、特に男の子にとっては、自分も作ってみたいという気持ちをくすぐられるものだったようだ。chitty chitty bang bang というミュージカル映画の冒頭のシーンに登場する目玉焼きを作る機械などは、その最たるもので、皿ごと火にあぶったら、食べる時に火傷するじゃないかと思うのだが、子供のころには、一度は試してみたいカラクリだ。

YouTubeの動画を見ると、ミュージカルだから歌が中心になってて、意外に機械が出てこない感じがするが、1分47秒ぐらいから登場するのがそれだ。皿がテーブルに到着する映像が見たかったのだが……残念なことだ。

ピタゴラスイッチ」の場合は、ゴールドバーグ・マシーンのように機械に目的を持たせるわけではない。ドミノ倒しのように、動作が伝わっていく楽しさやその速度や向きが、良い意味で見ている者の予想を裏切り、唸らせるユーモアがある。

そんなことをあと10カ月で考えていこうと思うのだが、プレゼン用に冒頭の部分の簡単なからくりを自分だけで作ってみたい。その上で、それをHippoのメンバーに公開して、協力者を募りたいのだ。そして、この計画を「プロジェクトP」というオッサン臭い名前を付けた。