*[サッカー]ラトビア戦

ラトビアは2004年の欧州選手権のグループリーグでドイツと引き分けた、決して弱いチームではないとはいえ、W杯の欧州予選では既に敗退の決まったチームである事からも、ここはどんな手を使っても2点のリードを生かして逃げ切って欲しかったが、パスミスからボールを奪われて引き分けに終わった。

来年のW杯のグループリーグで勝ち残るには、このクラスの相手には取りこぼせないのだ。というのも、グループリーグの組合わせは、まずシードされる8チームが選定される。まず、開催国のドイツ、そして複数回優勝を経験しているブラジル、イタリア、アルゼンチン、(ドイツは重複するので除く)それから予選を突破すればイングランドやフランス、オランダ……もう1チームはスウェーデンかスペインだろう。(2002年の大会で欧州のチームが苦戦した理由の一つには、この恩典がアジア2チームのために得られなかったことが大きく作用していると、私は思う)

それぞれのシードチームに、次のレベルに位置する南米と欧州のほかのチームが割り振られ、アフリカ、北中米、アジアの各国は最後に割り振られることだろう。

W杯のグループリーグでは、優勝を狙うシード国が取りこぼすことが偶にあるが、ラトビア戦のような軽率なミスをしていては、それは望むべくもないし、それ以外の2チームには2勝、あるいは1勝1分けで通過せねばならないわけだ。それゆえに、ラトビア程度のチームには勝っておきたかった。

それにしても日本代表、見ていて、ボール回しが、つくづく下手だなと思った。日本に向いてきた流れをことごとく台無しにしたのが、DFとボランチを交えたボール回しの失敗からだと思う。

あんなにゴールに近いところでボールを失うならば、相手にボールを預けるようなつもりでロングボールを蹴りこんで、深い位置からのターン・オーバーを万全な守備体制で迎え撃った方が良い。意地になっていたのか、ロングボールで失敗するのがトラウマにでもなっていたのか?ボール回しからのビルド・アップにこだわりすぎて、逆にボールを奪われてしまっていた。

たしかに、オールスターに選ばれたメンバーがいればなと思うこともあった。実際、このメンバーで試合をしたのも初めてならば、練習や紅白戦だって、殆どしてないはずだ。ボール回しにミスが出るのも無理はない。

ところが、前線へのフィードということに関して言えば、国内残留組が入ったところで、結果は似たようなものだったかもと推測できてしまうあたりに、日本代表の現状に不安を感じるのである。

とはいえ、やりなれたメンバーでキャプテン宮本がリーダー・シップを握れば、DFラインから直接前線へのフィードも、失敗は承知の上でかなりの本数でトライしたのではないかと思うと、オールスターの日程を恨みたくなる。日本代表のあの拙いパス回しが、代表の弱点として、世界各地から選ばれてくるチームのデータとなってしまうのではないかと、心配になる。

日刊スポーツの署名入りのコラムで、「サッカーに関して言えば、すでにオールスターの役割は終り、存在する意味を感じない」とあった。「1リーグ制総当りのJリーグでは、オールスターでなければ見られない対戦というのもない」訳だし、「Jリーグやサッカーを知らない人に知らしめる役割も、既に果たしてしまっている」というわけだ。

もっとも、Jリーグとしてはつらい事情もある。1シーズン制になって、チャンピオンシップの2試合がなくなって収入が減った上に、代表のW杯予選の日程のためにスポンサーつきのオールスター戦の日程を繰り下げに繰り下げていたというからだ。如何に代表の試合が重要とはいえ、リーグの興隆無くして、代表の強化も望めない。

日本代表の次なる相手は、欧州予選をトップで突破したウクライナだ。2年連続で欧州最優秀選手に選ばれたシェフチェンコをFWに据えた攻撃力の強いチームに、わが代表のDFが如何に対応するか?それを最高のメンバーで挑みたかったのに、返す返すも、この点が無念でならない。