最近の私(クリスマスまで)

12月16日夕方、押尾コータローのライブを見に行く。

Panorama

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もともと、ラグタイム奏法などでテクニックを披露していた彼は、マイケル・ヘッジスなどの影響でタッピング奏法を身に着けるようになり、現在のスタイルでのギターソロライブを行うようになった。
押尾のライブを見るのは初めてだが、彼のギターテクニックのほか、エコーの波長の調整、彼のテクニックを読みきった完璧なタイミングでの照明の切り替えや、大阪人らしい彼自身のMCなどが絡み合い。とても楽しめるステージパフォーマンスになっている。
ちょっと驚いたのは、日本中彼の行くところならどこまでも付いていく「追っかけ隊」女の子たちだった。おそらく、開場待ちの列の最前列から数十人は、そういう素性の女の子達なのだと思う。開場を待つ行列を横目に係員と顔パスで入っていくいわゆる「関係者」と思しき人々とも面識があるらしく、我々地元の観客とは一線を画す雰囲気を持っている。

12月17日、前日の押尾のライブで味を占め、ラウル・ミドンの来日公演の一般売り出しに申し込もうと努力するが、敢無く敗退。実はプレオーダーで当選していたのだが、当選を告げるメールが届いた日は非常に多忙な日で、終日メールのチェックが出来ず、しかも料金払い込み期限が翌日までしかないことに気がつかず、気づいた時には非常に悔しい思いをしたものだった。まあ、縁が無かったと思うしかないのだが、最初にラジオから流れ出る「the state of mind」を耳にした瞬間から好きになったミュージシャンだっただけに、ぜひとも聞いてみたかったのだ。

12月18日、商店街の売り出しの福引の最終日。ガラポンの抽選機は数年前から廃して、今年はダーツゲームで引き当てる方法を選択した。ダーツといっても、針で突き刺す矢では、当たり損ねの跳ね返りや取り落とし出足に突き刺さる恐れから、吸盤だらけのボールをプラスティックの回転盤に吸い付かせる方法を採用した。非常に上手い考えだったと思ったが、如何せん、商店街そのものの魅力が大型店の出店の影響で消え失せつつあった上、抽選日の3日間を大雪に祟られた。大量の賞品が引き当てられずに残った。
「抽選券が複数ある場合」という条件付だが、このゲームの必勝法を思いついたが、売り出し加盟店は、できるだけ抽選券を配り尽くすようにとの取り決めがあるため、私の手元には1回分の抽選券しか残らなかった。「閉会前に1度だけ行ってくる」と母に告げると、母は私の背後からチョットしたまじないをかけた。その結果、私は携帯ラジオを引き当てた。
「母のまじないの正体は何か?」とポケットを探ると、なんと「急須のフタ」であった。母曰く、「生活に必要なもので、その片割れ無しでは役に立たなくなるものを本人に内緒でポケットにしのばせると、欲しい物を当ててくる事がある」との事だった。子供の頃の体験からだったそうな。

12月22日、午前中と夕方に大きな配達があった日、朝から気合を込めて準備していたのだが、猛烈な雨風が恨めしい。というか、「大丈夫かよ?」ってなぐらいにまで風が吹き始めたと思ったら、9時前に最初の停電。それが数回続いたが、このときの停電はかなり短いものだった。しかし、風雨はさらに強まっていく。しばらくすると、納品先の学校から休校の連絡が入り、大量の商品が売れ残る可能性が出てきた。それでも、実はこの日の仕事量は、能力の限界を超える恐れがあったのだが、この学校が休校になったおかげで、ほんの少しだが余裕が出来た。
午前中最後の納品はちょっと遠方なので、自動車専用道路で行くことになった。風雨は相変わらず猛威を振るっており、海に近いその道路は猛烈な横風を受けるのでスピードが出せない。荷台のコンテナの背が高いトラックなどは倒れそうなほど傾いてノロノロと走っている。実際その後、その道路ではトラックが横転して、復旧は夜になってからだった。もちろん、その間道路は封鎖されたが、こんな日はこの道路は使わないほうが懸命だ。私も、帰り道は下の道を通って帰った。納品先は隣町だったが、停電は復旧してなかった。わが町は復旧していたのにだ。
ラジオで停電や風雨の被害の情報を聞いていると、その町の中心部は、停電の被害が広範囲に及んでいて、さっきから新潟方面に電話をかけているのに繋がらないのは、そのせいだったのかと納得。
夕方の大きな配達の時も納品先は停電中。実は、この納品は1時間後の予定だったが、停電によって作業は中止、工場労働者たちは仕事を終えて私の運んでくる荷物を待っていた。よりによって一番昼の短い冬至の日に停電だから、暗い中を大勢が待っていて、ちょっと異様な雰囲気。
納品を終えて帰ってくると、今度はわが町が停電。しかも朝とは違い、今度はなかなか復旧しない。店番をしながら、翌日の作業計画やら伝票を書こうと思っていたのだが、暗闇の中でろうそくの火を頼りに、それをやるしかない。商品が見えないのだから店番も暇だろうと思っていたのだが、停電で炊事が思うようでない客が三々五々訪れ、事務作業は意外にはかどらない。終わった頃には、すっかり客足も途絶えていた。
冬至の日だったから、店を閉めたのはかなり早い時間だったと思う。ろうそくの日を頼りの晩飯だったが、それでもガスで炊事が出来るというのは、やはり便利なものだ。オール電化の住宅などが売り出されているが、災害というリスクを考えた場合、生活手段もリスク分散が必要ということかもしれない。
当然のことながらテレビは点かないが、数日前に商店街の福引で引き当てた携帯ラジオが大いに役に立った。停電は、夕飯の後片付けをしている途中回復した。午後8時少し前だった。ネットで口座残高と株価チェックを手早く済ませた。

12月23日、停電翌日、挨拶は停電の話ばかり。納品先のかまぼこ工場も、夕方の停電で作業打ち切りとなっていたそうだ。しかも、かまぼこの納入先も停電で早々に閉店となったため、大量の製品が工場内にだぶついてしまい、ウチの納品先の生協の売店は、自社製品の大盤振る舞い。段ボール箱1箱を105円単位で売っていた。かまぼこ工場というが、かまぼこのみならず鍋物の材料や惣菜も扱っているので、そういうのを買って帰って、うちの従業員に実費で売ってやると大喜びだった。
停電の原因がしきりに報道されていた。そういう報道は大事だと思う一方で、地政学的にテロや他国からの侵略も警戒しなくてはならない地方に住む者としては、そういう弱点を曝け出してしまっていいのかとも思ってしまう。
むろん、この報道でそういう弱点を解消する動きが出ることもあるだろうけど……

12月24日、今日納品した品物でひどいミスをしてしまう。納品というよりも、発注ミスなのだが、別の商品を発注して届けてしまった。結局届けた商品を受け取ってもらい、お金も払ってもらったのだが、大きく信用を失ってしまったことには違いない。原因は、私が作った集計表に並べた商品の順番が申込書に並んでいる商品の順番と違っていたからだった。われながら情けないミスだったので、1日中、ため息をつきっぱなしだった。
夜は有馬記念の予想のためにCSのフジ739で「競馬予想TV」を見る。スポーツ紙から得た情報と、この番組からの情報で、ディープインパクトを特別視することは出来ないと判断。小額ながらディープインパクトも含めた3連単を6頭のフォーメーションで買う事に決める。ディープインパクトがアタマなら殆ど儲け無しか小額の儲けだけとなるが、2着3着ならちょっと旨みが。

12月25日、今年はクリスマスプレゼントを2つもらった。1つは言うまでもなく有馬記念万馬券。もう一つは、諦めていたラウル・ミドンの来日公演のチケットが追加公演ながら買えた事だった。

ステイト・オブ・マインド(期間限定)

ステイト・オブ・マインド(期間限定)

有馬記念ディープインパクトは2着だった。私の見るところの敗因は、まず勝ち馬の騎手の好騎乗、そしてディープインパクト陣営が人馬ともに周囲の過剰な期待に調教のパターンを乱したことにあると思っている。降雪が予想されたことで、前倒しになった調教だけではない。その調教を中途半端に軽くやってしまったことに、プレッシャーの虜になってしまったディープインパクト陣営に「充分にやらなかった不安」が取り付き、翌日のプール調教、さらに輸送前日の強めの調教をやらせてしまうという愚を犯してしまう。
人間の言動に敏感なサラブレッドには、こういうパターンの変更はてき面に影響を与えてしまう。調教後に走りたい気持ちを溜め込んで、レースになるとそれを爆発させるこの馬には、そういう中途半端さや日程の変更は爆発のタイミングと場を見失わせる結果となったと思う。また、ディープインパクトを取り巻く異常な雰囲気にタップダンスシチーの超スローペースのレース展開も、勝ち馬に利して、この馬には害を為したと思う。それでも、上がり3ハロンを出走馬16頭中最速の34秒7を出しているのだから、この馬が決して弱いということではない。
勝ったお金で母へのクリスマスプレゼント。カシミアのストールと同色の帽子。