久々の雪除け

Kさんの通夜には、やはり行けそうもない。夜から始まるとはいえ、新潟から東京の通夜にウィークデイの午後から出かけて、その晩のうちに帰ってくるというのはかなりの離れ業だ。しかも、最近の豪雪の被害を見ていると、翌日の朝一番の帰宅さえ出来ない可能性だってある。
「男女間に友情は成立するか?」中学生時代の学級新聞のお約束のテーマである。この問題に、当時われわれに一番人気のあった国語のA先生は、「他の人は知らないが、自分には親友といえる女性がいる」と明快に答えていた。私も、「条件付だが、友人・親友といってもよい関係を持ち続ける事は可能だ」と思う。つまりは、人は全ての異性を恋愛対象として見ている訳じゃないから、対象外の人とはいくらでも友人にはなりうるし、相手が結婚でもしていればなおさらだし、親友にだってなりうるんじゃないかなと思っている。

だからこそ、私は友人として、誰はばかることなく、Kさんの通夜に出たかったのであるが、とても行けそうにない。彼女の親友のIさんに香典分の現金書留を、今日郵送した。

郵便局には、この他に、例の昨年末にもつれにもつれた、満期になった保険金と私の健康祝い金の受け取りに出かけた。ところが、この情報が郵便局の簡保の外交員の耳に入るや、速攻で新たな契約を勧めに来た。まあ、簡保ではないが、保険はもう充分すぎるほど入っている。そう言っても、「これはまあ、いわば貯金の一種ですから」と引き下がらない。「すぐに出かけますから」といって出かけて帰ってくると、帰宅を待ち構えているので、見つからないように駐車場の車のところまで戻った。

この後、外交員は母をもう少しのところまで口説き落として、再度、母が私を被保険者にして賭けようかと決心しかけたのだそうだ。ところが、「昨年5月の私の入院の見舞金の請求だって簡単だった」という言葉を発した途端、彼の態度が一変した。なんでも、一度入院でもしようものなら、向こう3年間、簡保には新たな契約は出来ないのだそうだ。外交員は、無駄な時間を費やしたとばかりに、慌しく帰っていった。事情を聞いて、私もほっとしたが、態度の一変というのは、少し引っかかった。

さて、一方、駐車場に着いた私は、そこに凄い雪の壁が出来ていることに気がついた。駐車場前の道はさほど交通量は多くないが、最近の大雪でかなり通りにくくなっていた。だれか、市に除雪を依頼したのだろう。ところが、除雪というのは、除雪用の器具のついた重機で雪を押していけばOKという訳ではない。除雪し残した雪が道の両側に大きな壁になって残っているのである。

ただ降って積もった雪というのは、スノーダンプやスコップでの雪除けも簡単なのだが、一旦重機で動かした雪は、圧縮されて硬く重くなっているので、これを除けるのは容易ではない。どうしても除けられない小さな路肩の雪は、手作業で除けるとしても、もう少し、重機で丁寧に雪をならして欲しい。駐車場近くの料理屋の板さんが重機のオペレーターに掛け合うと、ずうっと後退させて、道の両脇の壁をならして行ってくれた。たぶん、言わなければやってくれなかっただろう。連中も、こういう作業無しで数万円の報酬とは、随分楽な仕事をしようとしている。全く目が離せないものだ。

それにしてもだ。体が随分と鈍ったものだ。残った小さな雪をスノーダンプとスコップで取り除こうとしたら、体がキツくて堪らない。テレビで見る中越の豪雪地帯の除雪作業の大変さから較べたら、お茶の子の作業なのに、なんだか情けない。