日本ダービー

日曜日の日本ダービーは、皐月賞馬のメイショウサムソンがゴール前で逃げ粘るアドマイヤメインをかわして、2冠制覇を達成した。


今年は、昨年のディープインパクトのような抜けた馬がいないので、2冠達成は厳しいと見る人が多かったが、一方でアドマイヤムーンに騎乗していた武豊が「この馬はかなり強いですよ」と皐月賞がフロックではないことを強調していたように、メイショウサムソンを高く評価する人も多かったのも事実である。

私は、武豊がそう評価したことで、逆に不安になってしまった。

というのも、話は3週間前のNHKマイルのレース直前の検量室でのエピソードが耳に入っていたのだ。直前の特別競争を何鞍か乗り終えた彼は、検量室に戻ってくるなり、「内(埒沿い)は、かなり酷いですねえ」と声高に話していたらしいのだ。これを聞いたほかの騎手たちは、「やはり、今年の春の府中は、外の方が伸びるのか」と思ったのだそうだ。

ところが、実際NHKマイルのレースが終わってみたら、武豊騎乗のロジックが内埒沿いを鮮やかに抜け出して、優勝してしまったから、みんな豊本人がなんと言うか注目したらしい。そしたら、「内(埒沿い)が酷く硬い」という意味で言ったのだと言うことで、みんな豊にやられたと思ったらしいのだ。

さて私は、前日になって、この「嘘つき豊(笑)」の言葉を信じていいものかどうか不安になったのだが、前日の夜から当日午前中の雨量は、相当なものであるとの情報も入っていた。となると、後方一気の追い込み馬は、持ち味を活かしきれない可能性は充分だ。

そもそも昔から、ダービー・ポジションといって、1コーナーを回ったときに前から10頭目以内の位置取りを確保しようと、どの陣営も躍起になったものである。その後、最高36頭立てにもなっていた出走頭数も18頭にまで減少し、昨年には後方から大外を一気にぶん回して勝つ馬などが出てくると、位置取りなど関係ないなどと思ってしまいがちだが、今年のように力の差が無いとか言われる世代のダービーには、やはりクレバーな競馬が出来る馬こそ有利になるのではないかと思う。ましてや、道悪の可能性も大きいとなれば尚更の事だ。

もう一つ、私を不安にしていたのは、この馬の父親がオペラハウスという馬で、多くの血統重視派の予想では、「同じ父親を持つテイエムオペラオーとイメージがダブってしまう。いずれ強くなるだろうが、この段階では未だ強くない」というのが多かったことだ。しかし、同じ血統重視派の予想家でも、競馬予想TVの水上氏の「テイエムオペラオーのダービーのときの乗り方は、和田騎手が大外をぶん回すような強引な騎乗が原因であり、まともでロスの無い乗り方をしていれば、ダービー馬になっていた馬だ」とのコメントに勇気付けられた。

考えてみれば、血統などと言うものは、統計による能力を発揮できる可能性を示唆するだけのものであり、相手関係も、騎手の騎乗方法も違うのに、レース結果もそのまま同じとするものではない筈だ。

そういえば、シーホークという種馬の仔を「スダホークとイメージがダブる」とダービーで敬遠していた血統重視派の予想家がいたが、結果はウィナーズサークルアイネスフウジンが2年続けてダービー馬になった。過去にいた同じ父親の馬にイメージがダブル程度の予想しか出来ないのなら血統重視派の看板は下ろしたほうがいいと思う。

水上氏は、血統を参考にしたうえで、今年のレースの展開や馬場状態を読み、その上で「そういう条件ならば、この血統の馬の特徴が活きて来るように思う」という予想の仕方を披露してくれるので面白い。むろん、どんな予想家でも100%はありえないが、その点、この人のコメントは聞いていて面白いのだ。

ともあれ、これで軸は皐月賞馬のメイショウサムソンに決まった。さて、そこからどう買うか?普通の馬連では、やはり人気を背負っていて旨みが少なそうだ。馬単で買う勇気も無い。となるとやはり3連複か…

やはり、道悪を重視して、先に行く馬を買いたい。逃げ馬アドマイヤメイン、先行馬フサイチリシャールは外せない。そこに、メイショウサムソンが好走するレースに必ず付き合うドリームパスポート、今回はある程度前での競馬をしたそうだったフサイチジャンクジャリスコライトと買ってみた。

まあ、結果はご存知の通りだが、道悪で軽視したマルカシェンクが4着に食い込んできたのには驚いた。この馬は、相当やりそうだが、レース後に骨折が判明した。とても残念なことだ。ただ、やはりダービーは運の良い馬が勝つものだと思った。

さて、私が馬券を買う上半期最後のレースは、6月25日の宝塚記念と決めてある。安田記念などは、お休み。ディープインパクトが出走予定であるが、本当は宝塚記念などは見送って、英国のキングジョージに挑戦して欲しかった気もする。

それにしても、まああまり見ている人はいないかもしれないが、NHKの大河ドラマ巧妙が辻」のもっとも有名な名馬購入の場面をダービー当日に持ってきたことは、その制作者のユーモアのセンスを褒めてやりたい。