従業員の怖い話

私は、霊感が無いことについては、人後に落ちない。幽霊・UFOなど一切の体験をしたことが無い。まあ、金縛り程度の体験はあるが、それはどうとでも解釈のつけようはあるし、特段恐ろしいとか不思議なものではない。

ところが、世の中には、そういうモノがとり憑き易い人たちがいるもので、ウチの従業員さん宅は一家揃ってというか、家そのものが霊、あるいは物の怪の通り道になっているらしい。

そもそもの始まりは、娘の部屋のあらゆる電気製品の寿命が異常に短いことに端を発したらしい。湿気のせいなのではと聞いてみたが、2階の部屋だし、それより湿気の多そうな部屋では起こらないと言う。近所に高圧電線が通っている様子も無いようだが、この程度なら電磁気学からのアプローチで解決できるのかもしれない。

しかしその家の怪は、それのみに留まらない。誰も歩いてないはずなのに2階へと階段を上っていく足音がしたり、台所で炊事をしていると、茶の間の全く同じ場所に誰かが立っているのが肩越しに見えるので、振り向くと誰もいなかったりということが起こり始めた。視界の端に変なものが見えるというのは、網膜はく離か飛蚊症かとも思ったが、「茶の間の全く同じ場所」と言うのでは、その症状とも違うようだ。

ついには、娘が原因不明の熱と頭痛に悩まされだし、医者も困り果てた挙句、本人に覚えも無いのに、「子宮外妊娠の疑いがある」と診断して、その医者とは喧嘩になったらしい。

この上は、医学・科学では解決できないと判断した一家は、「御祓いを受けよう」と霊能の強いことで評判の祈祷師に依頼したと言うのだ。

そいつが言うことには、「この家は例の通り道になっている」と言うのだ。まず、家の立地が変わっている。玄関を開けてでると、道の向かい側にお社の鳥居がでんと構えている。そればかりか、家の裏にも小さな祠が祭られているらしく、かなりスピリチュアルな場所に建てられてしまっているのだ。

祈祷師曰く、「まあ、悪い連中ではないのだが、彼らはみな自分が一番と思っているので、双方あるいはどちらか一方が蔑ろにされるのが気に入らないらしい」とのこと。しかも、「こう鳥居や祠が向き合ってては行き場を失うので、その不満が溜まる場所が娘の部屋」だと言う。

ちなみに、娘の首には蛇が巻き付いていたらしく、御祓いとお守りで、無事快癒したとのこと。(ホンマかいな?笑)また、茶の間に現れるのは、従業員の祖父とのこと。

祈祷師でもない、ウチのオフクロがいうには、「あそこの家は、あの女の亭主が婿入りしたのだが、父母と若夫婦との折り合いが悪く、家を飛び出してしまったんだ。それなら、苗字も変えてしまえばいいんだが、子供が学校に通ってる時期でもあり、苗字を変えないできているから、孫親(「祖父母」の意)が出てきて、『帰って来い』と言ってるのさ」だって。

私は、こういう経験が一切ないので、どう信じて良いか分からないが、霊の通り道のぶつかり合いと、娘の首の蛇と、祖父の霊の話には、首尾一貫性が無いのが気にかかります。

ただ、あの家の周囲もそうだけど、そこからしばらく行った所には、「七社(ななやしろ)」なんて地名もあり、地名だけからも、スピリチュアルというか、いろんなモノが封じ込められた過去のある土地で、そこに知ってか知らずか、平気で建売住宅なんか建ててるんだなと思います。

そういうことで、2006年6月6日は、「オーメンの日」でした。