サンタ・クロースになる

キャラバルーン サンタクロース コスチューム 男女共用 140cm

キャラバルーン サンタクロース コスチューム 男女共用 140cm

昨日、多言語交流のファミリーのクリスマスパーティーに参加した。時期を同じくして、ロシアからの家族交流ステイの受け入れをしていたフェローに対して、何の協力も出来ずにいたため、このパーティーに、サンタ・クロースに扮して登場してから、遅れて素顔で参加する旨を伝えていた。

クリスマスにサンタクロースの姿になった経験のある人は、相当数いると思うのだけど、私は実は初めてだったのだ。「体型的にもぴったりだよ」と憎まれ口を行ってくる人は数知れずいるのだが……


驚いたのは、子供たちとその親御さんたちの反応。「いたずら小僧たちが、何でこうも変わるかねえ」と笑っちゃいたくなるぐらい、大人しくなり、素直になる。無論、小学校も高学年になると、私である事などすぐ気がついていて、近づいてきてニタニタしながら、私である事とどういう扮装の仕方をしているのか確認しに来るのだが、年少の子達の夢を壊さぬよう、一応気を使ってくれたりする。

プレゼントは、お馴染みのお菓子入りの長靴。一応人数は確認していたのだが、直前で一人増えるかどうかの情報が入り慌てる。この日の段階ですでに、この手の商品は見切りの段階に入っており、私が事前の情報の数で長靴を確保した直後に、売切れてしまった。人数が増えた場合は、一番年長の子に我慢してもらうように、母親を通じて根回ししてもらう。しかし幸いにして、人数は増えなかった。いつもは我々の活動にあまり乗り気でない子供っぽい彼も、事情を察して、協力していてくれたり、まあお菓子がもらえると思うと、みんな良い子だこと。

さて、プレゼントが行き渡ったので帰ろうとすると、「待って待って」と引き止められ、記念撮影が始まる。最初に全員で、次に各家族ごとに、そして仲の良い家族複数が合同で写したりすると、最後はまた最初に戻って、全員で何枚も写真を撮られた。まるで、スターかアイドル扱いである。これらの写真が手に入ったら、できるだけ公開したい。

撮影も終わったので、ようやく、「今日は忙しいので早く行かなければ」と解放してもらい、階段を下りて帰る振りをして、別室に入れてもらい、素早く衣装を脱ぎ捨てた。

さて、この日の私のサンタの衣装だが、「キャラ・バルーン・コスチューム」というなかなかの優れもの。スリーサイズがどれも2メートルという小錦サイズなので、殆どの人がダブダブになる。そこへ、衣装の背面についている送風機で空気を送り込むから、誰でも全く別人、小錦になれる。

着るときには、ちょっと注意が必要である。というのも、この衣装、普段着の上に重ね着できるのだが、重ね着できるが故に、例えばズボンのポケットの中のものが取り出せなくなったりする。また、電池ボックスは上半身に袖を通す直前に取り付けなくてはならない。写真のようにベルトに取り付けるクリップが付いているが、下に着込んでいるシャツやトレーナーにポケットがあれば、そこに入れるのも一つの考え方だ。

この空気が入るおかげで、見た目超デブ爺さんのはずが、実際には意外に身動きが取りやすい。バルーンとは言っても、ゴム風船のように密閉された状態ではなく、ルーズに膨らんでいるのだ。

難点は幾つかある。

まず、この送風機の音がうるさい。元々は、宴会の余興用らしく、サンタ・クロースを信じる信じないなどと言う世代の人間を相手にするわけではない場面用の衣装なのである。よく、子供たちが信じてくれたと思う。

柔らかいフェルトもしくは毛織物の衣装と相場が決まっているサンタクロースにしては、雨合羽のような生地というのも不自然だ。もし、それを指摘されたら、「最近、冬でも雨が多いから、こういう格好じゃないと、ずぶ濡れになって、風邪を引いちゃうんだ」と答えるつもりだった。


しかし極めつけの難点は、縫製の悪さと言うか、使用しているファスナーの素材が、物凄くチープだと言う点。試着を含めて数回着用したら、ファスナーの末端の止め具が壊れて、ファスナーが閉まらなくなった。早いうちに直さなくてはならない。実は、こういうのを直すのが、超苦手。フェローに伝えてみたが、彼女も苦手との事。それに、サンタの衣装を直しているところなんか、子供には見せらんないよなあ(笑)

さて、衣装を脱ぎ捨てて、パーティー会場に行ってみて気がついたのだが、サンタの衣装を着けていたときには、あんなに擦り寄ってきた子供たちの私への関心が殆ど無い。みんな、もらったばかりのお菓子を食べるのに熱心だ。ちょっと、自分が演じたサンタに嫉妬すると言う、奇妙な心理状態を実感する。まあ、クリスマスの時期のサンタクロースの人気に挑むなんてのは、ジャニ・タレの人気に挑むぐらい無謀な事かもしれない。

面白い事と言ってはいけないのかもしれないが、お菓子を配ってから1時間後ぐらいになって、ケーキを食べる事になったのだが、ステイ中のロシア人の子供が気分が悪いと言う。どうやら、もらったばかりのお菓子を全部食べてしまい、もう甘い物は体が受け付けないのだそうだ。長靴の中には、相当数のお菓子が入っていたはずなのに、1時間ほどで全部食べてしまうとは……そんなに美味しかったの?それとも、それまでのホスト・ファミリーで出された食事が口に合わず、お腹を空かせていたのだろうか?後者の可能性は、彼女の前では口にできんなぁ……

それにしても、日本人の親なら、そんな卑しい貪り方をしたら、厳しく叱りそうなものだが、民族が違うと、それなりに対応の仕方も違うようだ。それとも、やはり日本食が合わなかったか?彼女の料理、そんなに酷い出来ではないと思うのだが……