中東情勢・フランス料理・相撲・入場行進

  • まず、訂正を一つ。

レバノンからの留学生・ハッサン君の帰国は一時的なもので、完全な帰国としたのは、われらがラッキーの早とちりであった。ガザの辺りで、きな臭いにおいはするものの、レバノンパレスチナは政治的に不安定な土地、今回はレバノンから離れた地域での紛争だが、3年前のヒズボラとの紛争の時は、家族と一切の連絡が途絶えたんだとか……

別れ際、我々は、「まあ、アメリカ大統領の変わり目を狙って火遊びしたんだと思うけど、これからも小競り合いは続くんだろうなぁ…。新大統領の態度を見極めるために、やったかもしれないね」などと話し合った。

人は、いじめられた体験があれば、いじめられた者の気持ちがよく理解できそうなものであるが、実際はそうとも言えない。「釘になるよりは、ハンマーの方がいい。カタツムリになるよりは、雀の方がいい。」どこかで立場を逆転したいと思っているのだから罪深い。


  • がらりと、話変わって、

昼飯、何にしよう?毎回、ラーメンじゃあ、体に悪いし……と思ったとき、前から気になっていた店があったことを思い出した。住宅街にある、小さな店。一見して蕎麦でも打ってるのかというような外見だが、中へ入ってみると、立派なフランス料理店である。

この店「orga」のことは、地元のミニコミ誌で取り扱われていたことがきっかけだったのだが、その効果は絶大で、そこで取り上げられた直後から、店の前に設けられた小さな駐車スペースではあふれてしまうほどの客の入りが、連日続いている。

メニューはあるらしいが、それを見るよりは店内の壁に掲げられた黒板に大書されたものを見た方が早い。

写真は店の入り口に表示されていたものだが、大黒板の画像は、黒板前にカップルが居座り、撮影は憚られた。内容を見ると、実に魅力的なラインアップではないか?私は、「佐渡産カキのプロヴァンス風」を注文した。(ウェイトレスには、「甲くりのソテー」をイチ押しされたが、「甲くり」という魚の得体の知れなさと、「プロヴァンス風」という言葉の重みとの綱引きの結果である。こんなに、ミーハーでいいのか?)


写真は注文の品である。パセリをあしらった緑鮮やかなソースが美しく、ここにバゲットを焼いたものが添えられ、皿に残ったソースをパンにつけて味わえる。カキのあしらいが、非常に上手だ。火を通すと小さくなりがちなカキが十分な大きさと柔らかさで調理されている。無論、ちゃんと火は通っていて、生臭さなど、微塵も感じない。白くて半円形なのはカブ。インゲンに筋はついていたが、全く問題なく食べられた。皿のど真ん中の下に、カボチャをソテーしたものが隠されて盛り付けられてあり、それが長方形の皿に載っているものだから、ナイフ・フォークを持てば、当然のように左端から食べ始めるので、カボチャのところで、ちょうど中間点に差し掛かる。カリッという歯ごたえの変化が面白い。実に考えて調理されている。

さて、味だが……不味くはない、美味しいと言ってよい。その上で自分の好みは、もう少し塩味がほしいと思った。薄味の方が食材に味がわかって好いとも言うが、自己主張に欠ける気がした。ただ、多くの客が途絶えることなく支持しているのだから、これはこの味付けで正解なのだろう。

値段は、フランス料理なのだから、こんなもんなんだろう。ちょっと高いと思うのは、私がケチなせい。中華屋やファミレスと較べたら失礼だろう。

帰りがけ、店の前にこのような看板を発見した。手堅く始めた商売だが、店の人気が出れば、こういう問題で近隣の人々とのトラブルが生じる。何とか応援したいが、商売は、やはり難しい。

  • さて、相撲界が大揺れしている。大麻汚染の問題だ。

理事会は、十分に対策を建てられていない気がする。
思うに、相撲の世界というのは、昔から、ケンカの強い者、腕っ節の強い者、身動きが自在でスピードのある者たちが集まっただけで、倫理観とか遵法精神などというものは、新人のスカウトの基準には入っていなかったのだと思う。

稽古に励むモチベーションも、「勝って番付が上がれば、周りが言うことを聞くようになる」という言葉で煽ったもので、「勝ち上がって経済的に豊かになれば、昔の様な悪さにも手を染めなくなるだろう」という思い込みが、関係者の間にあったのだと思う。

貧困が犯罪の原因であるうちは、それでも良かったのだと思う。だが、日本人全体が豊かになってみると、そうではなかったことに気がつく。何不自由なく暮らしている子供たちが、凶悪な犯罪を犯す時代である。そういう時代にテレビに出るような人たちには、倫理的に厳しいものが求められるのではないだろうか?

つまり、昔ながらの旧態然としたものの考え方が通っていた時代ではなくなっていたのに、相撲界の人々はその対応に無関心であったのだと思う。時津風部屋のリンチ事件での対応を見ると、「昔ながらのことをしているのに、なぜ非難されるんだ?」的な戸惑いが感じられた。昔なら、悪いことをしても、相撲が強ければ認めてくれるはずだったのに、時代は変わったのである。

そこへ加えて、大相撲の急速なグローバル化へも、彼らの対応が遅れているのがわかる。日本では、大麻の吸引は違法だが、そうではない国がたくさんある。すでに、有名大学のキャンパスないでの大麻栽培まで発覚するほど、この国にはこの種の汚染が浸透しているのだ。かつては薬物使用には晩生だった日本の悪ガキ達は、悪さをしてもここまでは至らなかったから、指導する人間も対策に手をこまねいているのだ。

このままではいけないという気持ちをしっかり持たないと大変なことになる。財団法人資格も放送権もあぶないし、天皇賜杯総理大臣杯など、この手のスキャンダルを嫌うタイプの後援者からの支持さえ得られなくなる危機が来ているのだから。

  • 高校野球、選抜大会の入場行進曲の編曲が紹介された。後乗りのヒップホップを前乗りの行進曲に編曲してどうすんの?って、決まった時から思っていたのだが、まあ、慣れた人の手にかかれば、そんなことお構いなしに洗練された曲に変身し、結局全く別物とはなったが、それなりに面白い編曲だ。

でも高校野球って、どうなのよ?と、まあ、とかく毀誉褒貶の多い世界だけど、「好きな野球だから、一所懸命にやる」その気持ちだけは、真実なのだろうから大切にしてやりたい。