水難去って、また水難

私が水のことで祟られているのは、前回のブログでお知らせしたとおりだが、今回のことは、ほんとにショックだった。まず、冷蔵庫がお釈迦になったのだが、これは水とは縁のない話。多少の不便は感じながらも、来週の水曜日に納品されることになった。

そんな打ち合わせの電話が終わった直後だった。

どこかから、古びた機械のモーターでも稼働し始めたのか、キュルキュルキュルキュルと絶え間ない音がする。私は、いやな予感がするので、自分の家のことではないようにと願うあまり、この音を、自分の家のものではないと決めつけて、無視することにした。

しかし、外出から母が帰ってくると、それが自分の家のトイレからであることが分かる。

ああ………よりによって、土曜の夕方だよ………

オフクロは、早く職人が家に帰ってしまう前に電話をかけろ!と怒鳴りまくるくせに、自分では何もしない。家を建てたのは、この人である。この欠陥建築を。

浄化槽の管理会社に電話を入れると、業務終了の自動音声が流れたものの、幸い携帯電話への連絡先を教えてくれている。藁にもすがる思いで電話を入れると、果たして以前うちの担当をしていた人に連絡がついた。私の水難にしてはラッキーなことである。

ところが状況を説明すると、返事は芳しいものではなかった。

浄化槽の管理会社は、トイレの便槽を洗浄することに関しては専門家ではあるが、お尻を洗浄するノズルを洗う水のことに関しては専門外だという。

なるほど、同じ機械式でも、お尻洗浄機能は電子制御だから専門の業者を呼ばなくてはならないという訳か……

でも、とりあえずの処置として水は止まるという。簡単な事であるが、言われるまで気がつかなかった。電子制御ならば、電源を切れば水は止まるという訳。

完全に治らないことには不満だが、土曜の夕方という時間を考えれば無理もない。とりあえずは、電源を切ってみるかということになった。

ほほぉ…………止まった、止まった

と、このまま、言われたとおり切ったままにしておけば問題はなかったのである。
ところが、こうピタッと止まった様子を見ると、ついついやってみたくなることがある。当然、もう一度、電源を入れてみようと………ガチャ!!!

ああ、やっぱりノズルが洗浄されて………あれれ、何だノズルが出てきた……ということは………

うわぁぁぁぁぁ…………

齢(よわい)51にして、初めての顔射体験である。

「顔射」……水が顔に引っ掛かったという意味だが、使われる場面としては、かなりエッチなシチュエーションでの用語なので、妙齢なご婦人や良い子は、決して使わぬこと

しかし、これは変だ。お尻洗浄のノズルから出る水は、お尻が便座に乗っかっている時以外は出ないはずなのだ。私が、もろに水を浴びたのは、このためである。

とにもかくにも、そもそも何もしないのにノズル洗浄の水が噴き出していること自体が故障を意味しているわけだから、この場合、思わぬ被害をこうむることは十分にありうることなのだろう。

窮状を察して、浄化槽管理会社が様子を見に来たが、状況を打開することはできないらしく、便座の電源は切ってしまわざるを得ない。

水浸しになった便所の床を拭きとりながら、私は改めて、水に祟られていることをボヤいた。