2009JICE welcome party

9/19は、JICE浦佐国際大学に通う留学生たちのホームステイのウェルカム・パーティーだった。
このパーティーは、「持ち寄り」といって、自分で2品ぐらい持ってくる決まりになっている。

最初は、ファースト・フードで買った物などを持って行っていたのだが、これが結構高価だった。そこで、自分で作ってみようとしたのだ。しかし、自慢じゃないが今まで家事らしいことはしたことがない。インスタント系の材料を使ってごまかしてたのだが、そのうちに、キャンプやらBBQなどがあって、食べてみたいものがいろいろと出てきた。そうなると自分で作るしかないし、人前で作ることになる。そんな時、下手糞だとカッコがつかないので、年に何度かある「持ち寄り」で、自分が食べてみたいものをいろいろ作ってみようと考え始めたのである。

今まで作ったもので好評だったのが、エビの燻製、豚バラ肉の燻製、そしてミニトマトのスイートマリネである。ナンも作ってみたが、成功したのはミックス粉を使った時と、イースト菌を使った時だけ、本式のベーキング・パウダーを使ったナンの製造には成功していない。今回もやってみたかったが、ナンはやっぱり焼き立てを食べてみたいので、Hippoの持ち寄りには不向きな感じがする。

そこで、前回、オランジュ宅に持っていった「だし」をそうめんにかけてみようと思い至った。「だし」は、本来、あったかいご飯にかけて食べるのだが、味付けに麺つゆを使っているので、そうめんにかけても、異質ではないだろうという理由と、そうめんで食べることを試すには、今回が今年最後のチャンスだと思ったからと、ご飯を炊くよりも手間がかからないと思ったからだ。


まあ、3回目になるから、ひたすら野菜をみじん切りするこの料理にも慣れてきたところで、「だし」に関しては上手くいったと思うが、問題はそうめんだった。ザルの下が水でビショビショになるのを嫌って、よく水切りをしたのだが、それから余りにも時間が経ってしまったために、乾いて麺同士がくっついてしまった。先輩のオランジュからは、「麺を一口分ずつ、取り分けて丸めて並べれば、くっついても食べられるのよ」というアドバイスを受けた。そのメリットについては知っていたが、ひと手間を惜しんだために、残念な結果になってしまった。

ただ、基本的に、そうめんにかけるという発想自体に間違いはなかったと思っている。それと、「だし」そのものは、割と好評だった。日本人のみならず、ミャンマーカンボジアからの留学生からの評判は良かった。東南アジアでは、魚でだしをとった調味料を良く使うので、その辺に違和感はなかったのだと思う。内陸部のキルギスのお嬢さんは、何も言ってくれなかったが、何度か皿に取ってくれていたので、不味いとは思わなかったと思う。そうなると、やっぱりそうめんでの失敗が悔しい。
持ち寄りパーティー用作成全品
持ち寄りパーティー用作成全品 posted by (C)ぱな
「だし」以外にも2品作った。例によって、ミニトマトのスイートマリネとポテチョビ炒めというキャンプ料理だ。スイートマリネは、もう作り慣れてしまったが、秋になって、長めのミニトマトが出てきて、マリネ液が浸み込み難いかと思い、今までのお尻の方だけではなく、両端に十文字の切れ目を入れて漬けこんでみた。それでも、時間ぎりぎりだったかな?

ポテチョビ炒めは、本当は作るつもりがなかった。枝豆をペペロンチーヌ風の味付けで炒めてみようかと思い、買いに行ってみたら、何と今日はお彼岸の入りであっという間に売り切れてしまっていた。枝豆の「え」の字も見えない。そこで、パプリカとジャガイモを細く刻んでポテチョビ炒めとなった。ワカちゃん曰く、「青椒肉炒風だね」見た目はそうかもしれないが、味はイタリアンなのだ。そして多分辛かったと思う。

さて、食後は、それぞれの国別のパフォ-マンスとなった。カンボジアの留学生は3人、彼らの歌と踊りを見て聞いて、まず驚いたのが「沖縄の音楽だ」と思ったことだ。インドネシアガムランが沖縄の音楽の和音進行と同じことは知っていたが、カンボジアともこれほど近いとは思わなかった。踊りの時の手の使い方は、まるでカチャーシー、歌っているメロディーに三線の弦の音をイメージすると、ピッタリはまってしまう。そのことをネンジと話していたら、「オキナワ」という音に鋭く反応した留学生が、ブツブツ言いだすのだが、喧騒な中で聞き取れない。様子から察するに、「海で繋がってるんだから、似てて当然だよ」みたいな様子だった。もし、そうだとすると、沖縄の人たちや東南アジアの人たちの感覚は、日本本土にいる我々とよりも、かなり近いものがあるように感じた。

キルギスからも3人来ていたのだが、長身のナトゥル君は、非常に堅物で、シャイな青年らしかった。私の「だし」を食べてくれたお嬢さんも、好奇心の強そうな人だったが、人前にしゃしゃり出るほどではなかった。アジジ君が代表して、無伴奏で歌ってくれた。彼をここまでに心を開かせたのは、マリアの長女りんちゃんの貢献が大きいと思う。彼女の、バリアを作らない大人への働き掛けは、注目に値する。

モンゴルからはたった一人のお嬢さんが来ていて、こちらも無伴奏でPOPS風の歌を歌ってくれた。7月初めのカンカンFのBBQのときには、モンゴルの留学生が大勢来ていて、私がTVCMで使われていたモンゴルの童謡風の曲のことを聞いたら、その曲のことは全く知らなかったようで、「今、モンゴルではロックでも、ポップスでも、何でも聞ける」と強く主張していた。別に、民謡・童謡が恥ずかしいことだと、私は思わないんだけどね。

さて、8人ぐらいがホームステイに参加いてきたミャンマーは、用意周到だった。女性は民族衣装をまとい、艶やかに化粧をしていた。首から金モールをかけて、これが踊りの重要な小道具となった。男性は、歌へと集中した。水の祭りの踊りの歌らしかったのだが、決して無伴奏ではない。なんとカラオケの音源を用意していたのだ。やはり、これだけの人数で参加しようと思うからには、彼らに何らかのモチベーションがあったのだろう。まさに、「数は力なり」なのだが、曲は非常に明るい、縁起の良さそうな曲だった。5人のお嬢さんたちの踊りも見事なもので、よく練られていて、ミャンマーという国に好感を持った人は少なくなかったと思う。

家に帰ってきてから、ニュースを見ていたら、偶然ミャンマーのニュースに触れた。「軍事政権による少数民族の弾圧で、中国国境を越えて難民があふれている……」「軍事政権が、北朝鮮との接触を図っている」などというものだった。昨年の日本人ジャーナリスト射殺事件のせいで、日本人のミャンマーに対するイメージは極めて良くないと思うが、どうも情報操作がされているらしい。

まあ、射殺の事実はビデオで写されていたもので、動かしがたい事実だが、軍事政権によって軟禁されているというアウンサウン・スーチーさんという人は、実はあまり国内では評判が良くないようだ。というか、変に軍事政権とトラブルを起こす困った人と思われている節もあるのだという。ニュースといえども鵜呑みにできない。

今回の件だって、事実はどうかわからない。タイ・中国・インドに囲まれ、英国も旧宗主国としてのプレゼンスを復活させようと企んでいるので、この国の少数民族というのは、変に独立に向けて煽り立てられている。軍事政権は国の多数派を占める民族の利益を守ろうとしているが、それって、本当に悪いことなのだろうか?少数派が不平を言うたびに独立を許していては、国家というものは成り立っていくはずがない。国内情勢が不安定になれば、軍事政権が誕生するのは必然ともいえる。それを、事情も踏まえずに「民主化民主化」と叫んでしまっては、国や民族は分裂するだけではないだろうか?ミャンマーは、天然資源に恵まれた国だという。中・印・英そして北朝は、それが目当てだと言われるが、情報操作で孤立したミャンマー政府が北朝鮮と手を携えようとしていることは、日本の国益にはそぐわないことに思える。まあ、ニュースはもっと正確に伝えてほしいのだが……


それはともかく、ミャンマーの留学生たちが、今回のパーティーでのパフォーマンスに気合を入れたのには、もしかして、そんな正確に伝えてくれないニュースに対して、明るくて陽気なミャンマー人のイメージを持ってもらおうという事情が影響を与えていたのではないかと、ふと思ったのだ。